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それでも夜は明ける☆12 Years a Slave [映画]

アカデミー賞作品賞受賞「それでも夜は明ける」を観に行ってきました。

重苦しくつらい。
そうなるのはわかっていたけどこれは観ておかなくてはと気を振り絞って観に行った作品。
同じ人種差別を扱った作品のジャンゴのように全然スカっともしないし42のように爽やかに明るくなるわけでもない。
観終わってもさらに重苦しく陰鬱となる作品です。

前向きな邦題がついてますけど…
あきらめないとか超前向きなコピーがついてますけど…
そういうふうに宣伝しないとお客さんが呼べないのはわかってますが、ゼログラビティの時のようになんでゼロつけてしまったんだ…って思ったみたいにこの邦題、観る前はいいなって思ってたけど観たあとはちょっと疑問。

この陰鬱さは縞模様のパジャマの少年を見終わった時のよう。
過去記事はこちら


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☆あらすじ☆
奴隷制度が広がっていた1841年、アメリカ。ニューヨークで家族とともに暮らす自由黒人で音楽家のソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、突如誘拐され、奴隷としてアメリカ南部のニューオーリンズへ売り飛ばされた。農園での労働を強いられ、狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちからはむごい差別と虐待を受けながらも、ソロモンは決して人としての尊厳を失うまいと心に決める。いつかまた家族と再会できる日が来ることを信じ続けて耐え忍ぶソロモン。そして12年もの歳月が流れたある日、奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い、これを機に彼の運命は大きく変わっていく……。


監督はスティーブ・マックイーン。
アカデミー賞の時WOWOWゲストの三谷監督がどうしてスティーブという名前にしたんだ!親は!っていってたけど私も思ったw思わず確かめたものw
三谷監督のこういう一視聴者みたいな感覚のコメントが大好きw

監督が生まれたときにブリットが流行っていたからつけたんだそうです。
ブリット!大脱走!
好きな作品


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脱線しました…(;∇;)


SHAMEの監督。
あーだからマイケルファスベンダーなんですね。


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そして製作にブラッドピット。

最近はジョージクルーニーやレオ様やアンジーのように製作に大物俳優が名前を連ねることが多いですね。
そっちの方が資金提供をうけやすいのかな。

でもこの映画はアメリカの黒歴史。
俳優さんもアメリカ人はメインで出てくる人にはいない。


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ブラピは超イイ役で出てくるのでそりゃプロデューサーはその役獲るよねーせこいよねーなんて思ってしまったwww(((^-^)))

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ベネディクトさんも出てきます。
かなり理解のあるオーナーさんだったけど、借金があるとかで主人公を悪魔のようなwファスベンダーへ転売する。


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ルピタニョンゴ。
必死に訴えるこのシーンとても胸打ちました。
旦那様は目が曇っておられる

その後の鞭打ちはもう壮絶でつらすぎました。

町山さんがあの鞭はCGで動きを計算されてるってアカデミー賞の時いってたような。


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助演女優賞に輝いたルピタニョンゴもすばらしかったけど、私はマイケルファスベンダーもよかったと思う。
普通こういう役ってやりたくないじゃないですか。
彼とてもルックスが整ってるんですよね。
プロメテウスの時にはアンドロイドの役をやっていたぐらい。
とにかく人間の中では美しい。
そんな彼が冷酷な所業をするわけです。
もうぞっとするぐらいの、時には笑みを浮かべながら。
美しさと冷酷さって似合うんですよね。

ジャンゴのレオ様のように。
彼は熱さを持ってたけど、このマイケルファスベンダーは冷たい熱。

怖い。
狂っているようで怖かった。
パッツィーを愛してるのかそれともただの所有欲、征服欲なのか
でも肌の色が違っても子供は愛しているように見えた。

どの領主も敬虔なクリスチャン。
神に祈りながら鞭をふるって奴隷を家畜以下に扱う所業をみせるのはなんなんだろう。
人はどこまで残酷になれるのか。

綿花を手に取ったことある?
白人の奴隷が手を傷つけてるシーンがあったけど、綿花は棘があってあの白いふわふわを取るの結構難しい。
それを素手で取るのである。
きっと手は血だらけで傷だらけになってたと思う。


一番怖いというかぞっとしたのが首吊りのシーン。
足が必死に地面を探してちょろちょろ動く。
このシーンとても長く感じたんだけど、初めは誰もいなくてシーンとしてたのに、少し時間が経ったら子供達が周りで無邪気に遊びだす。
他の人は助けることもしないで普通に生活してる。
首吊りがまるでそこにオブジェでも飾ってあるかのように無視されてる。
水を持ってきてくれた人もいたけどでもそれは一瞬。

これが日常かと思ったら言葉を失って怖くてたまらなかった。

無関心を装わなければ自分自身すら生きることもできなかったのだ。


帰れた主人公は12年間奴隷でもまだ幸せな方だった。
パッツィーを助けてやることもできない。
自分ひとりが助かってハイそれでよかったねーってなる作品ではない。
ラストのあの表情。
帰っても一言目が許してくれだった。
誘拐されたのに…
ここもつらかったわ…

エピローグもつらい。
夜って明けたの?と思わずにいられなかった。


無関心はもう罪だ。
無知も罪であるような気がする。

知らないでは済まされない。

実話なんです。




12(トゥエルブ)イヤーズ・ア・スレーブ

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  • 作者: ソロモン・ノーサップ
  • 出版社/メーカー: 花泉社
  • 発売日: 2014/06/04
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無関心がその世界を成り立たせている。
あの超いい役だったブラピも自分がかわいいと言っていた。
きっと誰もがそうだ。

この作品がアカデミー作品賞になったことがすばらしい。
無関心からの第一歩。
まずは知ることからはじめよう。




あとこの映画でとても印象に残ったのがエアープランツ。
南部の映画でよく出てくるから最初藤みたいな垂れ下がる花なのかと思ってたんだけど、どうしてもエアープランツにしか見えない…
調べてみたらエアープランツであってて南部にはよくあるスパニッシュモスといわれるもの。

t02200146_0640042511288349789.jpg画像お借りしました


学名:Tillandsia usneoides
チランジア  ウスネオイデス
一般にスパニッシュモスやサルオガセモドキと呼ばれる。
エアープランツの一種。
パイナップルの仲間、アナナス科の植物。


そういえばヘルプでもよく出てきた。
過去記事はこちら

南部を象徴する植物。

触ったことあるけどふわふわしてかわいいんだよ。
それがあんなにたくさんあるんだ。
空気中の水分で生きてるから何もしなくてもいいはず。

この先きっとスパニッシュモスをみるたびに私は人種差別を思い出す。



涙なんて涸れます。
それぐらい心をえぐるような強烈な強さをもった作品でした。



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